暑さ指数が測っているもの
暑さ指数(WBGT)は、三つの温度計を重み付けして一つの数値にしたものです。
| 温度計 | 反応するもの | 屋外 | 屋内・日陰 |
|---|---|---|---|
| 自然湿球温度 | 湿度・風・湿った布に当たる日射 | 0.7 | 0.7 |
| 黒球温度(直径15cm) | 放射熱。上からの日射と、下からの地面の熱 | 0.2 | 0.3 |
| 乾球温度 | 日陰の気温 | 0.1 | — |
重みの大部分が湿球温度にあるのは、人が熱を逃がす仕組みが汗の蒸発だからです。そして黒球の0.2が、この指標を気温と決定的に違うものにしています。強い日射の下では、黒球温度は気温より20〜30℃高くなります。
この計算が推定である理由
暑さ指数の計算には放射の量が必要です。しかし気象データには日射量が含まれていません。したがって、気象データから暑さ指数を出しているアプリやサイトは、例外なく放射の項を推定しています。このツールも同じです。
ここで使っている手順は次のとおりです。
- 太陽の高さから、晴天時の全天日射量を求める(Haurwitz の式)。
- 雲量で減衰させる(Kasten & Czeplak の式)。
- 直達光と散乱光に分ける(Erbs の相関式)。
- 気温と湿度から下向き赤外放射を推定する(Brutsaert の式に雲の補正)。
- 湿球と黒球の熱収支を、Liljegren のモデルの解析形(Kong & Huber)で解く。
そのうえで、二つのことをはっきり書いておきます。
- すべての値は推定値です。上の精度は計算方法についてのもので、入力の精度ではありません。
- 高温・低湿・無風では低めに出ます。この計算方法は、その条件で自然湿球温度を最大2℃程度低く見積もることが知られています。該当する範囲に入るとツールが表示します。
段階の読み方
| 段階 | 暑さ指数 | 目安 |
|---|---|---|
| 注意 | 25℃未満 | 激しい運動では危険が残ります。 |
| 警戒 | 25〜28℃ | 運動や重い作業では定期的に休憩を。 |
| 厳重警戒 | 28〜31℃ | 直射日光の下での活動は避ける。 |
| 危険 | 31℃以上 | 外出はできるだけ避ける。 |
職場ではこれとは別に、暑さ指数28℃または気温31℃という線があります。労働安全衛生規則612条の2による措置義務の対象となる作業の条件です。詳しくは 職場の熱中症対策義務化と WBGT 基準値。
実測値と公表値との関係
暑さ指数には三つの出どころがあり、区別して扱う必要があります。
- 実測値 —認証された指数計で測ったもの。基準に照らした判断に使えるのはこれです。
- 公表値 —環境省が地点ごとに公表している実況値と予測値。読み方は 公表されている暑さ指数の読み方。
- 推定値 —このツールが出すもの。計画と気づきのためのものです。
印刷して掲示する形が必要なら早見表、作業強度に照らした目安なら 作業中止基準チェッカーへ。