暑さ指数が測っているもの

暑さ指数(WBGT)は、三つの温度計を重み付けして一つの数値にしたものです。

三つの構成要素と重み。ISO 7243 による。
温度計反応するもの屋外屋内・日陰
自然湿球温度湿度・風・湿った布に当たる日射0.70.7
黒球温度(直径15cm)放射熱。上からの日射と、下からの地面の熱0.20.3
乾球温度日陰の気温0.1

重みの大部分が湿球温度にあるのは、人が熱を逃がす仕組みが汗の蒸発だからです。そして黒球の0.2が、この指標を気温と決定的に違うものにしています。強い日射の下では、黒球温度は気温より20〜30℃高くなります。

この計算が推定である理由

暑さ指数の計算には放射の量が必要です。しかし気象データには日射量が含まれていません。したがって、気象データから暑さ指数を出しているアプリやサイトは、例外なく放射の項を推定しています。このツールも同じです。

ここで使っている手順は次のとおりです。

  1. 太陽の高さから、晴天時の全天日射量を求める(Haurwitz の式)。
  2. 雲量で減衰させる(Kasten & Czeplak の式)。
  3. 直達光と散乱光に分ける(Erbs の相関式)。
  4. 気温と湿度から下向き赤外放射を推定する(Brutsaert の式に雲の補正)。
  5. 湿球と黒球の熱収支を、Liljegren のモデルの解析形(Kong & Huber)で解く。

そのうえで、二つのことをはっきり書いておきます。

  1. すべての値は推定値です。上の精度は計算方法についてのもので、入力の精度ではありません。
  2. 高温・低湿・無風では低めに出ます。この計算方法は、その条件で自然湿球温度を最大2℃程度低く見積もることが知られています。該当する範囲に入るとツールが表示します。

段階の読み方

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」の区分。暑さ指数の値に対して定められています。
段階暑さ指数目安
注意25℃未満激しい運動では危険が残ります。
警戒25〜28℃運動や重い作業では定期的に休憩を。
厳重警戒28〜31℃直射日光の下での活動は避ける。
危険31℃以上外出はできるだけ避ける。

職場ではこれとは別に、暑さ指数28℃または気温31℃という線があります。労働安全衛生規則612条の2による措置義務の対象となる作業の条件です。詳しくは 職場の熱中症対策義務化と WBGT 基準値

実測値と公表値との関係

暑さ指数には三つの出どころがあり、区別して扱う必要があります。

  • 実測値 —認証された指数計で測ったもの。基準に照らした判断に使えるのはこれです。
  • 公表値 —環境省が地点ごとに公表している実況値と予測値。読み方は 公表されている暑さ指数の読み方
  • 推定値 —このツールが出すもの。計画と気づきのためのものです。

印刷して掲示する形が必要なら早見表、作業強度に照らした目安なら 作業中止基準チェッカーへ。