三つの温度計
| 温度計 | 設置 | 反応するもの | 値の例 |
|---|---|---|---|
| 乾球温度 | 日陰、通気 | 気温だけ | 32℃ |
| 湿球温度 | 日陰、通気、濡らした布 | 気温と湿度 | 26℃ |
| 黒球温度 | 直径15cmの黒い球の中心、屋外 | 放射熱と風 | 52℃ |
差の大きさが要点です。同じ場所で、一方の温度計が26℃を指し、もう一方が52℃を指しています。「気温」という一つの数値では、この状況を説明できません。
乾球と湿球の関係
この二つが揃うと湿度が決まります。乾湿計(psychrometer)が二本の温度計だけで湿度を測れるのはそのためで、 19世紀からの方法です。
差が大きい=乾いている、差が小さい=湿っている。差がゼロなら湿度100%です。
黒球が別物である理由
黒球は、他の二つが設計上避けている放射を測ります。
放射は空気の温度とは独立しています。よく晴れた日、日なたに立っている人が受けている熱の多くは、気温ではなく上からの日射と下からの地面の放射です。黒球はその負荷を一つの温度として表します。
同じ空気、日なたと日陰
- 乾球温度
- どちらも32℃—空気は同じ
- 湿球温度(日陰・通気)
- どちらも26℃
- 黒球温度、日なた
- 52℃
- 黒球温度、日陰
- 32℃前後
屋外と屋内で式が変わる
| 自然湿球 | 黒球 | 乾球 | |
|---|---|---|---|
| 屋外(日射あり) | 0.7 | 0.2 | 0.1 |
| 屋内・日陰 | 0.7 | 0.3 | — |
直射日光がない場所では、黒球はもはや日射を測っていません。周囲の壁や天井からの放射を測っています。その負荷を評価する必要があるため、黒球の重みが増えて乾球の項が消えます。
自然湿球温度という別物
暑さ指数の式に出てくる「湿球温度」は、自然湿球温度です。日陰で通気させた湿球温度とは違います。
- 湿球温度(psychrometric) —日陰、強制通気。気候の議論や湿球35℃の話に出てくるのはこちら。 英語のページで扱っています。
- 自然湿球温度 —屋外に置き、日射と自然の風にさらす。暑さ指数の0.7の重みはこちらです。
同じ条件でも自然湿球温度のほうが高くなります。ISO 7243 や JIS Z 8504 を読むとき、この区別を取り違えると値が合いません。
なお、湿球黒球温度計そのものについてはこのサイトでは扱いません。測定機器は認証されたものが必要で、その選定は機器の側の話になります。指標としての暑さ指数と、測定機器としての指数計は別のものです。