二つの数値が別々に効いてくる
職場の暑さについて、性質の違う二つの線があります。混同されやすいので、分けて書きます。
| 措置義務の対象となる条件 | WBGT 基準値 | |
|---|---|---|
| 数値 | 暑さ指数28℃以上 または 気温31℃以上 | 身体作業強度の区分ごとに異なる |
| 条件 | 連続1時間以上 または 1日4時間を超える見込み | 作業強度と熱への順化の状態 |
| 意味 | 体制の整備・手順の作成・周知が義務になる範囲 | 超える場合に環境改善や休憩の確保などの対策が必要になる目安 |
つまり、暑さ指数28℃は「作業を止める値」ではなく「対策の義務が生じる値」です。止めるかどうかは、作業強度に照らした基準値と、とった対策のあとに残る条件で決まります。要件そのものは 職場の熱中症対策義務化と WBGT 基準値にまとめてあります。
区分ごとの WBGT 基準値
厚生労働省が示す表では、身体作業強度を五つの区分に分け、熱に順化している人と順化していない人で別の基準値が与えられています。
| 区分 | 身体作業強度の例 | WBGT 基準値 |
|---|---|---|
| 区分0 | 安静、楽な座位 | 33℃ |
| 区分1 | 軽い手作業、立位での軽作業 | 30℃ |
| 区分2 | 継続的な手および腕の作業、歩行を伴う作業 | 28℃ |
| 区分3 | 強度の腕および胴体の作業、荷の運搬 | 26℃ |
| 区分4 | 最大速度での激しい活動 | 25℃ |
区分2の28℃が、措置義務の線と同じ値になっているのは偶然ではありません。歩行を伴う一般的な作業を基準に置いた設計になっています。
順化していない人が最も危ない
熱への順化は7〜14日でほぼ完成し、1〜2週間離れるとほぼ失われます。そして労働災害の統計で繰り返し確認されているのは、作業を始めて最初の数日に重い事例が集中するということです。
そのため、次の人は順化していない側で考えてください。
- その現場に入って1週間以内の人
- 1週間以上の休みや、涼しい時期のあとに戻ってきた人
- その年の最初の暑い時期を迎えた作業班全体
現場に三つの下請けと派遣が入っていると、「今日が初日の人」を誰も把握していないという状態が起きます。これは生理学の問題ではなく段取りの問題で、対策も段取りの側にあります。
このツールで判定はできません
示しているのは、公表されている限度に照らした目安です。熱に順化した作業者、通気性のある通常の衣服を前提にしています。
基準に照らした判断には次の二つが必要です。
- 認証された指数計による実測値。厚生労働省は JIS Z 8504 に適合した指数計を推奨しています。推定値との違いについては暑さ指数の計算ツールに書いてあります。
- 事業者の熱中症対策の計画。基準値を超えたときに何をするかは、その計画に書かれているべきものです。
現場での一日の流れは屋外作業の熱中症対策と WBGTにまとめています。